大石浩之の数学ノート · 学校・文化祭

文化祭の予算3000円、何個作れる? 一次方程式で計画しよう

· 8分で読める · 中学生向け

文化祭のしおり作りに向けて、材料とノートを広げ相談する中学生たちのイラスト
文化祭の準備を題材にしたAI生成イラスト。実在の学校や生徒を描いたものではありません。

Q. 一次方程式は、文化祭の予算を考えるときにも使える?

使えるよ。1個120円の材料と台紙600円で予算3000円をちょうど使うなら、個数をx個として120x+600=3000。答えは20個です。式を解いた後は、買う単位や予備のお金など、現実の条件も確かめよう。

文化祭で、手作りのしおりを配ることになった。使えるお金は3000円。「何個作れるかな」と相談しているとき、役に立つのが一次方程式です。計算の問題に見えるけれど、その前に大切なのは、お金の使い道を分けること。作る数に合わせて増えるお金と、数が変わっても同じお金を見つけてみよう。

この記事の文化祭、値段、しおりは、考え方を学ぶための架空の設定です。実際の学校の予算やお店の価格ではありません。私、大石浩之(磐田市/不動産業)は、数学を「テストで答えを出すもの」だけにしたくありません。やりたいことを実現するために、何を確かめればよいか。それを友だちに説明する道具としても、数学を使ってほしいと思っています。

1. 最初に分けたい、2種類のお金

今回の条件は、しおり1個の材料が120円、展示用の台紙が全部で600円、使うお金の合計が3000円です。台紙は1個作るたびに買うものではなく、この企画のためにまとめて用意するものとします。しおりの材料は、必要な個数分だけ買えることにして考えます。

ここで3000円をそのまま120円で割ってしまうと、台紙を買うお金が残りません。逆に、材料と台紙を一緒にして「1個720円」と考えると、1個増えるたびに600円の台紙を買う計算になってしまいます。どちらも計算操作そのものより、「その金額は何のためのお金か」という読み取りのずれです。

材料の代金は、作る個数が増えると増えます。台紙代は、今回決めた条件の中では600円のままです。仕事の話では前者を変動費、後者を固定費と呼ぶことがあります。ただし、覚えたいのは用語よりも「数に合わせて増えるかどうか」。その見方ができれば、買い物の送料や、部活で道具を借りるときの基本料金にも目を向けられます。

もう一つ、問いをはっきりさせよう。今回は「3000円をちょうど使うなら何個作れるか」です。「3000円以内で作れるだけ作る」とは少し違います。金額がちょうど一致する条件だから、等号でつなぐ方程式が作れます。実際の計画では、予備のお金を残すかどうかも、計算の前に相談しておく必要があります。

2. 何と何が等しい? 7つの段階で考えよう

このサイトの7つの段階で、場面を式につないでみよう。式だけを先に覚えなくて大丈夫。まずは何が分かっていて、何を知りたいのかを見ます。

予算3000円の中に、「しおりの材料全部の代金」と「台紙600円」が入っています。材料は1個120円ですが、個数はまだ分かりません。次の図の「?」が、今回知りたい量です。

3000円の予算を、1個120円で個数が未知の材料代と、台紙代600円に分けた図
まず場面を分ける。台紙代600円は、個数を掛けないお金です。

おく

作るしおりの個数を x 個とする。

xは値段でも予算でもなく、問いが求めている「しおりの個数」です。何の量かを一文で宣言すると、途中で式の意味を見失いにくくなります。

表す

単位をそろえよう。金額はすべて円、個数は個でそろっています。材料全部の代金は、小学校で使った「1あたり×いくつ分」の考え方です。部品の3つ組に分けると、次のようになります。

材料代の3つ組
1あたりいくつ分全体
1個120円x個120x円

台紙代は600円なので、使うお金の合計は120x+600円になります。120とxを掛けるのは、1個分の材料をx個分集めるからです。600を足すのは、材料とは別の買い物を一度だけするからです。同じ数字でも、何を数えているかで計算が変わります。

つなぐ

材料代と台紙代の合計が、使う予算3000円に等しいので、次の方程式でつなげます。これは=のパターンの「A 合計」です。

120x+600=3000

左側は使うお金を内訳から足したもの。右側は使うお金の総額です。「計算の答えを書くから=」ではなく、同じ金額を二つの表し方で示しているから=になります。この理由を友だちに言葉で伝えられるか、ここで一度確かめてみよう。

解く

120x+600=3000
120x=2400
x=20

両辺から600を引き、両辺を120で割りました。左側だけからお金を引くのではありません。同じ金額としてつながっている両側に、同じ計算をします。

確かめる

求めた20を、作った方程式のxに代入します。左辺は120×20+600=2400+600=3000。右辺も3000です。左辺と右辺が等しいので、20はこの方程式の解になっています。

解けた

20個なら材料代2400円と台紙代600円で、合計3000円になります。20は0以上の整数なので、しおりの個数としても意味があります。この条件で3000円をちょうど使って作れるしおりは、20個です。計算で出た数を場面に戻して初めて、問いへの答えになりました。

3. 数学で出た「20個」を、そのまま発注してよい?

方程式の良いところは、内訳と条件を他の人も確かめられる形で残せることです。「たぶん20個」ではなく、「台紙600円を引いた残りで材料を買うから20個」と説明できます。予算担当だけが頭の中で計算している状態から、みんなで確認できる状態に変わります。

一方で、式に入れなかった条件は、答えにも入っていません。たとえば材料が10個分の袋でしか売られていなかったらどうでしょう。今回の20個なら2袋ですが、計算結果が18個だった場合に、18個分だけ買えるとは限りません。送料がかかる、材料の一部を予備として買う、台紙をもう1枚追加する。そんな条件があれば、最初の式を見直します。

意外に感じるかもしれませんが、式が正しく解けても、そのまま実行できるとは限りません。これは数学が役に立たないという意味ではありません。どの条件を確かめていなかったかが、式を見れば分かるということです。「120円は何を含むの?」「600円で台紙は足りるの?」という相談の入口ができます。

私は、数学の使い道を説明するとき、うまく数字がそろう例だけでよいのか迷います。最初から条件を増やすと見通しが悪くなる。でも、きれいな答えを出したままで終えると、現実との距離が残る。だから、まず一つの条件で考え、その後に「実際には何を確かめる?」と問い直す順番を大切にしたいと思っています。

4. 少し残すという選択も、計算で話し合える

予算が3000円あっても、必ず全部使う必要はありません。急な買い足しに備えるなら、しおりを18個にする案もあります。材料代2160円と台紙代600円で、合計2760円。残るのは240円です。これは新しい未知数を求める場面ではなく、決めた案に必要なお金を確かめる計算です。

20個なら材料2400円と台紙600円で残り0円、18個なら材料2160円と台紙600円で残り240円という二つの案
同じ予算でも選び方は一つではありません。個数と残すお金を一緒に比べよう。

たくさん配りたいなら20個、買い足しへの余裕を持ちたいなら18個。数学は、それぞれに必要な金額を示せます。でも、どちらの案を選ぶかまでは決めません。何人に配りたいのか、材料が足りなくなる心配はあるか、準備時間はどれだけあるか。数字と一緒に、目的も話し合う必要があります。

「安いほうが正解」と決めつけないことも大切です。同じ予算で数を増やすために材料を変えると、作りやすさや丈夫さが変わるかもしれません。誰がどれだけ作業するかも違ってきます。数字を出すのは、誰かの案を一方的に負かすためではなく、同じ材料で相談できるようにするためです。

これは文化祭だけの話ではありません。送料のある買い物、基本料金のあるレンタル、共通の道具を使うものづくりでも、「まとめてかかる分」と「一つ増えるたびにかかる分」を分けると、何を調べるかが見えてきます。実際の契約や料金はそれぞれ確認する必要がありますが、内訳を分けて考える姿勢は共通しています。

5. 今日の小さな実験:条件を一つ変えてみよう

今度は、しおり1個の材料が100円、台紙が500円、ちょうど使う予算が2500円だとします。何個作れるでしょう。先ほどの答えだけを写さず、何が等しいかを一文で書いてから、7つの段階をたどってみよう。台紙代に個数を掛けない理由も説明できると、式の意味が確かめられます。

考え方と答えを見る

図:2500円を、1個100円の材料代(?個分)と台紙500円に分ける。おく:作るしおりの個数をx個とする。表す:金額の単位は円でそろっている。1個100円×x個=材料代100x円。つなぐ:材料代と台紙代の合計が2500円に等しいので、100x+500=2500(A 合計)。解く:両辺から500を引いて100x=2000、両辺を100で割ってx=20。確かめる:左辺100×20+500=2500、右辺2500。解けた:20は個数として意味があり、材料2000円と台紙500円で予算を使い切るので、20個作れる。

数字が変わっても、考える順番は変わりません。身近な計画で試すなら、まず紙に「一つ増えるたびのお金」と「まとめてかかるお金」を分けて書いてみよう。まだ値段が分からないものは空欄で構いません。その空欄は失敗ではなく、これから調べる項目です。

数学を学ぶ意味は、計算が速い人になることだけではないと私は考えています。条件をそろえ、理由を説明し、答えを現実に戻して確かめる。そうした力は、自分たちのやりたいことを、実行できる計画に変える助けになります。次は代金の問題で、別の場面にも同じ考え方が使えるか試してみよう。

よくある疑問

算数の割り算だけでも答えは出せる?

この例は、予算から台紙代を引いて材料1個分の値段で割れば、算数でも解けます。方程式を使うと、何を求めているか、どの金額同士が等しいかを、一つの式で残せます。答えが出たら終わりにせず、割り算の前になぜ台紙代を引くのかを説明してみよう。算数と数学はつながっています。

xが小数になったら、四捨五入すればよい?

しおりを何個作るかという問いでは、個数が整数であることを確かめます。「予算をちょうど使う」という条件で整数にならないなら、その条件を満たす個数はありません。「予算以内で最大何個」という問いなら、予算を超えない整数を調べます。四捨五入で増やすと予算を超えることがあるので、問いに戻ろう。

実際の文化祭で、最初に何を確認したらいい?

材料1個分の値段、まとめてかかるお金、使える予算を分けて書いてみよう。値段に含まれるもの、買う単位、必要な予備の材料も確認します。配りたい人数や準備時間はお金だけでは決まらないので、先生や仲間と相談してください。この記事の金額は学習用の設定で、実際の学校やお店の情報ではありません。

参考にした一次資料

資料確認日:2026-09-24。例題の金額・人数・場面は学習用の設定です。実際の価格や学校の決まりは、それぞれの条件を確認してください。