大石浩之の数学ノート · 科学・環境

月までの距離を縮尺で表すと?10億分の1の模型

· 8分で読める · 中学生向け

月の見える窓辺の机に、地球と月を思わせる球、二つの印を付けた細長い紙、ものさしと鉛筆が並ぶ切り絵風イラスト。
紙で月までの距離を考える場面のAI生成イラスト。球の大きさ・間隔・窓の月は、実際の縮尺や当日の見え方を再現していません。

Q. 月までの距離は、10億分の1の縮尺にすると何cm?

地球と月の平均距離38万4400kmを10億分の1にすると、中心から中心まで38.44cmです。cmにそろえて10億で割り、紙に二つの中心の印を付けます。これは平均距離の模型で、2026年9月25日当日の距離や、地上から見た月までの距離ではありません。

月までの遠さを、机の上に置けるだろうか。紙とものさしで、地球と月の位置を作ってみよう。必要なのは丸い球を買うことではなく、紙に二つの中心の印を付けることです。夜空の月を見上げる前でも、曇って見えない日でも試せます。

1. 中秋の名月は9月25日、満月は27日

2026年の中秋の名月は9月25日ですが、満月になるのは9月27日です。国立天文台「中秋の名月(2026年9月)」で確認しました。お月見の日と満月の日が、2日ずれています。「名月だから満月」と決めつけず、暦の名前と月の状態を分けるところから始めよう。

距離にも区別があります。国立天文台のFAQ「『スーパームーン』ってなに?」に示された、地球と月の平均距離は38万4400km。この記事は、その値を使って模型を作ります。2026年9月25日の特定の時刻に測った距離という意味ではありません。両資料の確認日は2026年9月25日です。

私、大石浩之(磐田市/不動産業)は、大きな数字を聞いたら、自分で扱える大きさに直して考えたい。商売の数字でも、総額だけでは判断しにくいからです。数学でも、38万4400kmを暗記して終えるのはもったいない。遠いという言葉を、手で測れる長さに変える。私は、そのために縮尺を使いたいと考えます。

縮尺とは、実物の長さに対する模型の長さの割合です。10億分の1なら、実物の長さを1,000,000,000で割ります。ただし、比べる長さの単位は同じにします。「kmの数字」と「cmの数字」をそのまま割ると、単位を変えた分まで混ざってしまいます。

2. 図から式へ、10億分の1を求める

平均距離38万4400kmを10億分の1にしたとき、模型の中心間は何cmでしょうか。図から始める7つの段階で、距離の単位と等号の理由を一つずつそろえます。今回は長さを求める問題なので、答えが整数になるとは限りません。

図

地球の中心と月の中心を二つの点で表します。実物の中心間は384,400km。模型の中心間を「?cm」として、その間を線で結ぼう。球の表面から測るのではなく、中心の印から中心の印までを測る図です。

実物は地球の中心から月の中心まで384400km。両方の中心を10億分の1の模型に移し、模型の中心間を何cmか求める関係図。線の長さは比を表さない。
図1:測るのは中心間。説明用の概念図で、長さは比を表さない。

おく

模型での地球の中心から月の中心までの長さをx cmとする。 xは、問いが求めている模型の長さです。地球の大きさでも、実物の距離でもありません。何を測る文字なのか、最初に一文で決めておきます。

表す

単位をそろえる。 1km=1,000m、1m=100cmなので、1km=100,000cmです。実物の距離は384,400×100,000=38,440,000,000cm。模型もcmにしたので、同じ単位で比べられます。桁が不安なら、長さの単位の復習へ戻れます。

模型の長さはx cm。模型を10億倍して実物の長さへ戻すと、1,000,000,000x cmと表せます。数字が大きくても、していることは「縮めたものを、同じ倍率で戻す」です。電卓を使うなら、入力したゼロの数と単位を紙にも残そう。

つなぐ

10億分の1に縮めた模型の中心間を10億倍すると、実物の平均中心間距離に等しくなる。 だから、1,000,000,000x=38,440,000,000とつなぎます。両辺はどちらも、cmで表した実物の距離です。模型と実物が同じ長さだと言っているわけではありません。

解く

1,000,000,000x=38,440,000,000
両辺を1,000,000,000で割ると、
x=38.44

等しい二つの量を同じ正の数で割ったので、等しさは保たれます。38.44という数字の単位は、最初に決めたcmです。縮尺の分母が大きいほど、できる模型は小さくなります。「10億」という大きな数を見て模型まで大きくしていないか、方向も確かめよう。

確かめる

元の式のxに38.44を代入します。左辺は1,000,000,000×38.44=38,440,000,000。右辺も38,440,000,000で一致します。cmをkmに戻すと、38,440,000,000÷100,000=384,400km。出発点の平均距離にも戻りました。

解けた

答えは中心から中心まで38.44cmです。正の長さなので模型の間隔として使えます。個数の問題と違い、長さは小数でもかまいません。40cmより短いため、余白を含めて長さ45cm程度の紙を用意すれば印を付けられます。平均距離を縮めた模型が、机の上に収まります。

3. 紙に38.44cmを取ってみよう

紙の模型は、長さ45cm程度の紙、ものさし、鉛筆で作れます。短い紙なら、2枚を重ねてつなぎ、継ぎ目が動かないよう固定します。紙の左端そのものを地球にせず、少し内側に中心の印を付けると、ものさしの0の目盛りを合わせやすくなります。

  1. 紙に小さな十字を描き、「地球の中心」と書く。
  2. 十字にものさしの0を合わせ、一直線に30cm測って補助の印を付ける。
  3. 補助の印に0を合わせ直し、さらに8.44cm先に「月の中心」の十字を描く。
  4. 紙の余白に「平均距離384400km・縮尺10億分の1」と書く。

ものさしの端と0の目盛りは、同じ場所とは限りません。合わせるのは目盛りの0です。2回に分けて測るときは、2回目の始まりが最初の30cmの印と重なるかを見ます。8.44cmは84.4mmなので、1mm刻みのものさしでは0.4mmの位置を正確に決めきれません。

地球の中心を0cmとして30cmの補助点まで測り、そこから8.44cm先の38.44cmに月の中心を置く。水平の線分は30対8.44の比で描き、天体の大きさは表していない。
図2:30+8.44=38.44cm。線分は長さの比を表しますが、画面や印刷物の実寸を測る図ではありません。

そこで工作では、38.44cmを小数第1位に丸めた約38.4cmを目安にしてもよいと私は考えます。計算の答えと、道具で作れる精度を分けるためです。38.44cmとの差は0.04cm、つまり0.4mm。丸めたことを紙に書けば、後で測り直す人にも条件が伝わります。

縮尺の意味を別の数字で確かめたいなら、比と比例の復習も使えます。模型を拡大した画面で見ても、画面上の1cmが模型の1cmになるとは限りません。図は測る手順を読むために使い、自分の紙はものさしで測ります。

4. 平均の模型では、今夜の距離は決まらない

38.44cmの模型の良いところは、巨大な距離を自分で測り直せることです。計算結果が手元の二つの印になり、単位や縮尺を説明できます。ただし、平均値を一つ置いただけでは、月までの距離の変化を表せません。国立天文台のFAQも、月までの距離や見る位置を区別して説明しています。

国立天文台が説明する地心距離は、地球の中心から月の中心までの距離です。地上にいる人から月までの距離とは異なります。この記事の二つの印も中心を表すので、紙に描いた地球の丸の端から測り直すと、別の距離になってしまいます。

私は、模型に「今夜の月」と書きたくなる気持ちも分かります。中秋の名月の企画なら、そのほうが伝わりやすそうで迷います。でも、この記事では9月25日の時刻別の距離を確認していません。分からない値を平均値で埋めない。「平均距離の模型」と書くほうを選びます。

球や丸を添える場合にも条件があります。今回縮めたのは中心間の距離だけです。天体の直径まで同じ縮尺にするには、直径の資料を別に確認して計算する必要があります。手持ちの球を置くなら「球の大きさは縮尺に合わせていない」と表示し、球の中心を紙の印に合わせます。

平均距離は宇宙の見取り図を作る出発点です。月の形、動き、当日の見え方まで再現した模型ではありません。追いつく時間の記事が一定の速さを仮定するのと同じで、答えは決めた条件の中で使います。条件を書くことも、数学で伝える仕事の一部です。

5. 最後は自分の印から、実物へ戻そう

紙の上の模型を確かめるには、二つの印の間をもう一度測り、元の距離へ戻します。たとえば工作用に丸めた38.4cmなら、10億倍して38,400,000,000cm。100,000で割ると384,000kmです。平均距離との差400kmは、模型で丸めた0.4mmに対応します。

この400kmは、月がその分動いたという意味ではありません。入力した平均値は同じで、模型の長さを丸めたために生じた差です。計算の途中の丸めと、現実の距離の変化を一緒にしないよう、紙に「計算値38.44cm/工作の目安38.4cm」と併記しておこう。

今日試すことは一つ。二つの中心の印を作り、なぜ38.44cmになるかを単位付きで説明することです。文化祭の予算の記事では個数が整数かを調べますが、今回は測れる精度を調べます。解いた後に場面へ戻ると、同じ方程式でも確かめる条件が変わります。

数値や天文情報は、使う資料や日時によって変わります。実際の観測に使う距離が必要なら、日時と距離の定義をそろえ、国立天文台などの専門機関の資料で確認してください。平均の模型だけで個別の観測条件を決めることはできません。

よくある疑問

30cmのものさしだけでも模型を作れる?

作れます。地球の中心の印から30cm測り、補助の印に0の目盛りを合わせ直して8.44cm先を測ると、合計38.44cmです。1mm刻みのものさしでは0.4mmを正確に読み取れないので、工作では約38.4cmを目安にできます。紙には計算値と丸めた値を両方書き、道具の端と0の目盛りを取り違えないようにします。

38.44cmは中秋の名月当日の距離を縮めた値?

違います。国立天文台が示す平均距離384400kmを、10億分の1にした値です。2026年9月25日の特定の時刻の距離は、この記事では確認していません。当日の模型を作るには、日時を決めてその時点の距離を調べ、地球の中心からの距離か観察者からの距離かもそろえて計算する必要があります。

地球と月の球の大きさも10億分の1になっている?

この記事の紙の模型は、中心間の距離だけを10億分の1にしています。二つの印や手持ちの球の大きさは、天体の直径を表しません。直径も同じ縮尺で作るなら、実際の直径を一次資料で確認して縮める計算が別に必要です。球を添えるときは、大きさは縮尺に合わせていないと書き、測る中心の位置を明示してください。

参考にした一次資料

資料確認日:2026-09-25。例題の金額・人数・場面は学習用の設定です。実際の価格や学校の決まりは、それぞれの条件を確認してください。